要点
- 毛羽立ちと糸くずは別の不具合です。毛羽立ちは表面で繊維が立つこと、糸くずは繊維がタオルから抜けることです。どちらもゼロを約束するものではなく、片方が他方の根拠になることもありません。
- ポリエステルは毛羽立ちを増やし、水流はそれを抑えられます。混紡のポリエステル比率が高いほど表面は毛羽立ちます。水刺圧力を上げるとウエブの結合が強まり毛羽立ちは減りますが、布は硬く薄くなります。
- 高坪量では混紡比率に下限があります。パール柄で約 80 g/m² を超える場合、当社の生産では表面を抑えるためにビスコース約 70% 以上が必要です。約 90 g/m² を超えると実務上の下限は約 80% に上がります。
- 公称坪量は目標値であり、納品される重量ではありません。ウエブ形成と巻取りの両方が数値を動かすため、ごく一部の袋では1枚重量や包装後の高さが許容範囲を外れることがあります。
2026年10月19日時点の内容です。比較は同一坪量における当社の経験であり、試験結果ではありません。
対象は1つの製品ラインのみです。本ページで触れる繊維、寸法、包装形態は、製品ページと包装ページで説明しているものです。本ページは他の工場を説明するものではなく、業界の規則を定めるものでもなく、買い手と合意した試験方法に代わるものでもありません。
01
同じ言葉として使われる2つ
毛羽立ちと糸くずは、しばしば「品質」として一括りに報告されますが、原因も対策も異なるため、サンプル報告では別の行に分けるべき項目です。
毛羽立っていてもほとんど脱落しないタオルはあり、表面がざらついて見えなくても脱落するタオルもあります。2つは別々に記録し、片方の数値を他方の根拠にしないでください。
02
毛羽立ちは繊維から始まる
粘膠(ビスコース)とポリエステルの混紡を当社で生産した経験では、毛羽立ちはポリエステルの含有率に従います。比率が高いほど表面が毛羽立ちます。そのため混紡比率は、素材名の補足ではなく独立した仕様項目です。
| 公称坪量 | 当社案件でのビスコース比率 | 下回るとどうなるか |
|---|---|---|
| 80 g/m² 超 | ビスコース約 70% 以上 | ビスコースが約 70% を下回ると、同じ柄・坪量でも表面の毛羽立ちが増えます。 |
| 90 g/m² 超 | ビスコース約 80% 以上 | 同じ毛羽立ちがより高いポリエステル比率で現れるため、実務上の下限は約 80% に上がります。 |
これらはパール柄における当社案件の例であり、すべての柄・寸法・繊維の組み合わせに当てはまる式ではありません。「ビスコース/ポリエステル」とだけ書いた仕様は製品を定義しません。70/30 と 80/20 は当社案件で使う比率で、比率は案件ごとに確認します。
03
毛羽立ちは水からも始まる
繊維だけでは半分に過ぎません。ウエブを形成した後、水流で繊維を絡ませ、その結合圧力が繊維の保持力を決めます。
| 変更 | 何が起きるか | 何を犠牲にするか |
|---|---|---|
| 圧力を上げる | 繊維の絡みが強くなり、表面の毛羽立ちが減ります。 | 同じ坪量で、風合いが硬くなり布が薄くなります。 |
| 圧力を上げすぎる | 毛羽立ちはさらに減りますが、タオルは承認サンプルと一致しなくなります。 | 厚みと柔らかさが用途の要求を下回ります。 |
| 均衡した設定 | 毛羽立ち・風合い・厚みを互いに犠牲にせず両立させます。 | サンプルラインで決め、承認仕様に明記します。 |
「均衡」は当社が公表する圧力の数値ではありません。3つを両立させる設定は繊維・坪量・柄によって変わり、表ではなく実物サンプルで決まります。
04
糸くずは繊維に従う
結合圧力が糸くずに与える影響は、毛羽立ちに比べてはるかに小さいです。タオルから何が抜けるかは、主に素材で決まります。
当社の生産では、ポリエステル、次にビスコース、リヨセル、コットンの順で、3つのセルロース繊維は互いに近い値です。ポリエステルが最も脱落します。コットン、ビスコース、リヨセルは糸くずが出にくいだけで、ゼロではありません。濡れた拭き取りの後、濃色の面に繊維片が出ることがあります。
05
公称坪量は納品重量ではない
60 g/m² のタオルはウエブに対する目標値であり、袋の中の1枚についての約束ではありません。目標を決めた後に数値を動かす工程が2つあり、どちらも仕様書には表れません。
買い手に見えるのはその結果です。ごく一部の袋で、1枚重量や包装後の高さが許容範囲を外れます。どちらも包装後に測ります。出荷されるのはタオル単体ではなく袋だからです。
ロット間の一貫性は、当社の生産では避けられないばらつきではなく、管理できる約束です。品質検査を通じ、変動係数(CV)の推移とロールの巻き方を監視して維持します。許容差そのものは案件ごとに合意し、仕様に明記します。
06
仕様に書くべきこと
6つの項目が、承認されたサンプルと、それに一致する出荷との間の隔たりを埋めます。いずれも供給者に守らせられる一行です。
| 項目 | 書き方 |
|---|---|
| 繊維の種類 | 100% ビスコース、100% コットン、または比率を明記した混紡。「不織布」だけでは不十分です。 |
| 混紡比率 | 70/30 や 80/20 のように2つの数字で書き、比率を検証できるようにします。 |
| 坪量(GSM) | 公称値と、その周囲で許容する範囲を併記します。 |
| 柄 | プレーン、パール、F のいずれか。名称ではなくサンプルで承認します。 |
| 寸法と折り | 展開寸法に 1/2 か 1/4 の折りを加えます。寸法だけでは包装が決まらないためです。 |
| 一貫性 | 重量変動をどう確認するか、1枚重量と包装高さにどの許容差を求めるか。 |
07
本ページが主張しないこと
毛羽立ちゼロ・糸くずゼロを目標にしない
どちらも繊維と工程の性質であり、切り替えられるものではありません。本ページは当社の生産での挙動を説明するもので、どのタオルも毛羽立たない、脱落しないと約束するものではありません。
測定した割合は示さない
比較は同一坪量における製造者の経験です。試験室の結果ではなく、性能の順位付けでもなく、他の供給者の製品を説明するものでもありません。
他のラインについての言及はしない
ここで成り立つ混紡比率の下限や圧力の均衡は、このラインを説明するものです。設備、ウエブ形成、結合の設定は工場ごとに異なり、サンプルなしで持ち込んだ数値は何も証明しません。